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株式会社ディーファ
⻄川哲也
公認会計士・税理士事務所

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[解説]


関与させていただいて初めて迎える決算の着地方針の検討で、
社長ご夫妻と常務おそろいで、打合せの機会を持ちました。

この会社、社長のご子息であり、後継の予定である常務から
お声掛けがあって、関与のご縁をいただくようになりました。

常務が営業の舵取りをされるようになって以後、工夫と努力で、
ようやくしっかり利益が出るようになってこられました。

従来だと、お金が回るかどうかだけをみていたそうですが、

「このまま行くと通期ではどうなるのかということを
 月々きちんとつかんでおきたい」

と考えるようになったとのことで、ご縁をいただきました。

そこで、まずは毎月の業績がきちんと出るようにするという
方針でここまでご一緒させていただいています。


打合せのほうは、決算の数字の見通しがだいたいついたので、
話は、今後の管理体制のことに移りました。


常務「まだまだ月次の数字が出るのが遅いですよね」

西川「そうですね。ようやく月別の損益がわかるように
   なったのが、年度の後半ですからね」

この会社では、社長と奥様が経理・管理を担当されて、
常務が営業面を見ておられます。

常務「いつまでたっても古いやり方を捨てられないから、
   時間がかかってるんじゃないですかね」


常務とはこれまで、業務フローの見直しを打合せして
スムーズに数字の出るように流れを組みたててきました。

ところが社長ご夫妻は、そのやり方になじめないために
業務がうまく進まず、常務はそれに不満があるようです。

たしかに、社長は非常に几帳面なところがあって、
それは経理を担当されるうえではよいことなのですが、
2度手間というより、3度手間になっているようなところが
ありました。

社長ご夫妻は現在70歳代半ば。
最近は処理の漏れやダブりも多くなっていて、2度手間が
ダブルチェックとして効かないことも多くなってきました。



常務「これだけ売上規模も変わってきているのに、
   昔のままの発想でいてもらっては話にならない。

   せっかく事務員を増やして先生にも業務の流れを
   整理してもらってるのに、年寄り二人がいつまでも
   握って離さないから、遅くなってるんじゃないか!」


常務はあからさまに社長を責めだします。
怪しい雲行きになってきました。


社長「お前は何にもわかってない…」


常務の言い分はもっともで、われわれも困っていたのですが、
あまりに強硬なので、ここは社長の気持ちを代弁します。


西川「社長はひとつひとつのことを、きちんとつぶして
   確認していこうとされているんですよね。
   そのこと自体は、売上が増えても同じですからね。

   むしろ、商いが大きくなってもきちんとやっていける
   ようにすることを、社長は大事にされてるんじゃないか
   と思いますよ」

常務「先生、年寄りの肩はもたなくていいですよ。
   仕事を取り上げて、さっさと進めましょう!」

 


常務も長らく業を煮やしていただけに、収まりません。
たまらず常務はいったん退席されました。



社長「先生、すみません」

西川「いえいえ。でも常務も一生懸命なんですよ」

社長「そうなんでしょうね。恥ずかしい話ですが、
   やっぱり、まだまだ息子のことが心配なんですよ。

   うまくいっているうちはいいけれど、長い間には
   商売、絶対しんどい時がある。

   いま、調子がいい時だけを知って、お金に対する
   感覚が荒くなってしまってはと思うと、
   息子にすっかり任せるのは気になるんですよね」

西川「お互い、頭ではわかっていても、気持ちでは
   わからないことがありますね…」



先代は、自分がいつまでも握りつづけることが良くないのは
わかっておられるものです。

それでも手放せないのは、後継者のこれからを案じるがゆえ、
ということが常にあるのだと思います。

もし先代と意見が相容れないことがあるときには
ちょっと思い出してみてください。