閉じる
06-6227-1567 お問い合わせ

株式会社ディーファ
⻄川哲也
公認会計士・税理士事務所

無料相談会
無料相談

新着情報

■ 今週の物語:先代はもっとも偉大なお師匠さん


[解説]

毎月の業績の確認で、ある会社の社長とお会いしました。

前月までの業績をもとに、「あと残りの期間をどうするか」
ということを言葉にしていただくのですが、
今月はなんだか、社長の反応がよくありません。

うわの空というか、心ここにあらずといった感じです。



 西川「社長、何か気がかりになってること、
    あるんじゃないですか?」

 社長「・・・・、やっぱりわかります?」


聞くと、社長が長年温めてきた新事業の展開が会長の意に
沿わず、完全に平行線になってしまっているとのこと。
会長は、社長のお父さまでもあります。


 西川「あの案件、業界ですでに話題になってますよね。
    人もモノも絡むからちょっと大きな動きですね」

 社長「そう。提携先が対外公表しちゃったしね」

 西川「会長はどうおっしゃってるんですか?」

 社長「とにかく気に入らない、の一点張りで、
    話を聞いてもくれません」

 西川「会長らしいですね」


会社をイチからつくってこられた会長は、
80歳代になった今もバリバリです。
たしかに、一度言い出したら簡単には動きません。


 社長「病気もして体力も弱っているのに、あれほど
   強硬に反対されると、本当に自分の判断を
   通して良いのかとわたしのほうが弱気になって
   しまうんです」

 二人の衝突はこれまでも幾度かありましたが、
 今回ばかりはその程度が違うようです。
 社長と会長を取り持つ古参の部長が口を開きます。


 部長「会長から幹部には『絶対にやめさせろ』って
   直接言われてるんです。
    われわれ幹部にとって会長は親も同然ですからね」

 西川「会長の意向になかなか逆らえないですしね」

 部長「はい。でも社長がこの案件をずっと前から
   温めてこられてきたのも知ってますからね。
    みんな、身動きが取れなくなってるんです」

 社長「そういう事情なんですよ」

 西川「でも社長としては、絶対にやるべきだと、
    考えておられるんですよね」

 社長「はい。もちろんです」

 西川「この状況、幹部のみなさんに溝を埋めてもらうのは
   もう限界なんじゃないんですか?」

 社長「そう・・・ですかね」

 西川「社長がそう思ってるんだったら、会長に納得して
   もらえるまで、とことん、お話するしかないんじゃ
   ないですか?」

 社長「そうですね・・・。でもあの会長ですよ」

 西川「会長は野性の勘も含めて、いろんなことを感じ取って
   気がかりに感じておられるのではないですか?」

 社長「その一つ一つに、答えられないといけない訳ですね」

 西川「だと思いますよ。会長からどういう角度で問われても
   社長がそれをクリアに答えきれるかどうか」

 社長「ただ『やりたい』だけでは越えられないですね」

 西川「会長も、会社の将来を案じているから、カンタンに
   YESとは言えないんじゃないでしょうか?」

 部長「私思うんですけど、いま会長は社長へ、最後の課題を
   出しておられるんじゃないでしょうか?」

 社長「・・・そうかもしれないね。これ以上社員をあたふた
   させるわけにもいけませんし。なんとか、前に進めます」


親子だと、つい感情が間にはさまってしまいます。

でも先代を最大の師匠と思って、その言葉を受け止めることも
時には必要なのではないかと感じる一幕でした。

反対意見を自分へのサジェスションと受け取れるかどうか。
難しいことですが、進むためには必要なのかもしれません。